治療について

思春期外来では受診された患者さん1人ひとりに合わせて、診断・評価を行い、最適と考えられる治療方法を選んでいます。治療にはさまざまな方法がありますが、ここでは代表的な治療方法を紹介し、具体的にどのような対応を行っているのかを見ていきます。
精神療法

思春期外来の診療では、まず患者さんの話にしっかり耳を傾けることから始まります。言葉や行動から心理状態を読みとり、心と体に寄り添った治療を行います。必要に応じてご家族と連携しながら一緒に治療を進めていきます。
薬物療法

状態によっては薬による治療が有効な場合もあります。日本では児童に対して適応外となっている薬もありますが、海外で有効性が示されている薬剤を慎重に検討し、使用するケースもあります。必要な場合に限り、本人・ご家族の十分な理解と同意を得たうえで使用します。
PCIT

PCIT(Parent Child Interaction Therapy)を導入している思春期外来もあります。PCITは子どもの心や行動面の課題、親の育児の悩みに対し、親子の関係性を深めることで改善を目指すプレイセラピーと行動療法を組み合わせた心理療法です。行動に問題がある子どもだけでなく、子どもとの関わり方に悩む保護者の双方に有効な治療です。
PCITの大きな特徴は「ライブコーチング」と呼ばれる手法です。専用の部屋で親子におもちゃで遊んでもらい、保護者にはワイヤレスマイクを装着していただきます。セラピストはカメラ越しにその様子を見守りつつ、マイクを通じて遊び方や子どもへの声かけなど、リアルタイムでアドバイスを行います。
ペアレントトレーニング

思春期の子どもを持つ保護者を対象としたプログラムです。疾患について正しく理解し、子育てに関する悩みや困りごとに向き合いながら、よりよい親子関係を築くことを目指します。具体的には子どもの行動特性を理解し、適切に対応する力を養うことで子どもの成長を支え、行動の改善につなげていくことが目的です。
心理カウンセリング

患者さんやご家族が疾患への理解を深め、安心して治療に取り組めるよう、心理士が心理カウンセリングや疾病教育を行うプログラムです。
ソーシャルワークと地域連携

思春期外来のソーシャルワーカーが学校や家庭での困りごとに対して、地域の福祉サービスや教育機関と連携しながら、子どもをとり巻く環境の調整や支援体制の整備・構築を図り、問題の解決をサポートします。