年齢ごとに異なる思春期の関わり方
「思春期」と一括りにされがちですが、小学生と高校生では心理的な成長段階もコミュニケーション方法も大きく異なります。ここでは、小学校高学年・中学生・高校生の3段階に分けて、それぞれに合ったコミュニケーションのヒントを紹介します。
小学校高学年(10~12歳)
小学校4~6年生は思春期の入り口です。まだ素直に家族と会話することが多く、「聞いてもらう」「受けとめてもらう」といった体験を通して信頼関係が深まる時期です。子どもが話し始めたときに途中で遮らず、「うんうん」「そうなんだ」と意見を受け入れる姿勢でいましょう。
しかし、この年齢層の子どもたちは善悪の判断がまだ曖昧な時期でもあります。無自覚に偏見や差別的な言動をすることがありますが、その際は感情的に否定するのではなく、「その言い方は相手を傷つけるよ」と、穏やかに伝えるようにしましょう。
中学生(12~15歳)
中学生になると自分の内面を大人に知られたくないという気持ちが強まり、必要なこと以外は話さない子どもも少なくありません。この時期は親や大人を「絶対的な存在」ではなく、「1人の人間」として評価し始める時期なので、距離を尊重し、見守る姿勢でいることが大切です。無理に聞き出そうとせず、本人のペースを尊重するようにしましょう。
そのうえで、子どもが必要なときに助けを求めやすいように、「困ったときは力になるから」といったメッセージをさりげなく伝え続けてください。
高校生(15~18歳)
高校生は見た目や体格、行動範囲も大人に近づき、自己決定の機会も増える時期です。行動範囲も広がり、アルバイトを始める子もいるでしょう。対等な個人として接することが大切ですが、判断には未熟な部分もあるため、「契約」や「責任」を伴う場面は注意が必要です。日頃から契約する前に一度相談するように伝えておきましょう。
何か失敗してもすぐに怒るのではなく、「相談してくれてありがとう」と一度受けとめると、叱っても信頼関係を損なわずに済みます。
思春期の親子げんかでの注意点
子どもとのけんかは避けられないことですが、関わり方には注意が必要です。子どもが感情的になり、辛辣な言葉を投げてくることもあるでしょう。親も人間なので傷つきますが、感情的にならず、冷静に対応することが大切です。「そういわれるとつらい」と、自分の気持ちを伝えるのも1つの方法です。怒りに任せて「そんな子に育てた覚えはない」というような人格を否定するような言葉は絶対にいってはいけません。
また、どれだけ言い合いになっても翌日に持ち越さず、普段通りに接することを意識してください。「けんかをしても関係は壊れない」という体験が、子どもの安心感や自己肯定感につながるからです。